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ブログ:Onevoice

松下 律 の投稿

 コロナショック後の回復がK字と言われてそのとおりだったのですが、ようやく小売りなどのK字の下向きの線が上向き始めた、ようです。しかし、緊急事態宣言下でさすがに飲食業界は不調で、K字回復の中でさらにK字回復の爬行現象が生じているとのことです。いずれにしても今はワクチン接種の進展を待つ局面のようです。


今週も?

 先週は金曜日の前場までけっこう売りに押されて、金曜日の後場から今週前半に盛り返したという展開でした。日経平均2万8千円台半ばまで値を戻して買い方も一安心というところだったでしょう。


 今週末に向けては同じようなことは起きまい、と思ったのですが、今週も同じような感じになるのかもしれません。値幅は大したことはないのですが、日本株を売る勢力はけっこう強いようです。


 コロナの感染者増加が顕著ですし、政府に対する風当たりが強くてこのままだと秋の総選挙の結果がどうなるか分からないといった観測もあるのでしょう。


 せっかくの大イベント(のはずだった)東京オリンピックも、


東日本大震災からの復興を世界に示すオリンピック → コロナに打ち勝ったオリンピック → コロナと闘うオリンピック、


と下方修正されてしまい、何とも気合の入らないことになってしまいました。


 5月SQ前の日経平均2000円下落、7月SQに向けても大きな下落、といったことがありましたから、8月のSQに向けてどこかで大幅下落を期待、といったムードもあるのかもしれません。


 米国株が強い(経済の回復、企業業績の好転等で)ので、日本株だけが暴落といったことはなかなか考えられないのですが、米国でもインフレ率の上昇という暗雲は消えていませんし、FRBのテーパリングへの懸念、それに時々蒸し返される米債務上限問題(米国会における与野党のバトル)、なども出て来ました。


 何かことが起きて、と言いますか、何かを祭り上げて、米国株の急落があれば、日経平均はNYダウの2倍下げるかもしれない、と期待する向きがいるのかもしれないな、などと思ったりもします。


 とは言え、日本でもワクチン接種は急速に進んでいますし、株価が下がると買いを入れてやろうとする市場参加者がかなりの規模で居そうだな、という感じもします。


 それやこれやで、結局ここからしばらくはレンジ内の相場なのかな、といったところでしょうか。


日経スリー銘柄を見ておきましょう・・

 今年の初めくらいまで、日経平均の上昇を支えて来たのは一握りの日経平均採用銘柄群で、日銀が日経平均型のETFを買い続けていたとしたら、言わば日銀ETF買いバブルがもっと膨れ上がっていたかもしれません。


日銀買い → 一部の銘柄の需給の異常なひっ迫 → 投機筋の思惑買い → 株価バブル膨張


というプロセスがさらに進行していたかも知れなかったからです。


 実際には日銀は(賢明にも)今年の4月以降日経平均型のETF買いをやらない旨の発表を4月以前に行って、実際そのように行動しましたので、需給ひっ迫を期待した投機筋は梯子を外された形です。


 日経平均を構成する一部の銘柄がバブル状態になっていたか、バブル状態になるかも知れなかったというのは本当のところだったと思います。


 さて、そうした銘柄の今現在の株価の状態はどうか?どう見るべきか?


 代表的な日経平均銘柄である、ファーストリテイリング9984、東京エレクトロン8035、ソフトバンクG9984、の3銘柄について株価の推移を振り返ってみたいと思います。


銘柄名   コード番号    15日終値    PER    PBR    ROE

ファストリ  9983       79600円    51倍    8.0倍    15.6%

東エレク   8035      46250円    22倍    7.2倍    32.7%

ソフトG    9984      7534円           2.9倍    1.3倍    51.8%


 全体として、日銀ETFバブルが沈静化している、と見ることができそうな気がします。ファストリについては、昨日発表の業績下方修正がどの程度株価に影響するか大いに注目ですが・・


2021年7月16日

証券アナリスト

松下律 

7月オプションSQ

 今日は7月のオプションSQ値算出日です。とくに波乱はなさそうという気がしますが・・とつい1日前までは思っていたのですが、昨日の後場あたりからにわかに波乱の様相を見せて来ました。


 米国のソフトデータの悪化から来る「世界経済の先行き拡大鈍化懸念(デルタ株ショックとでも言いましょうか・・)」と、中国の資本市場政策の強硬化(なかなか理解に苦しむ動きではあります)などが、売り方を勢いづかせたのかな、と思うところです。


 昨夜のアメリカ株の動きを見ましても、いったんは大きく売られたものの、その後買い戻されたといった感がありました。今日の日本株相場にも注目しておきたいと思います。


 このところ、日経平均を売り崩そうといういう動きがあったような感じもしますが、米中ともに景気回復の勢いが鈍りつつある中で、世界の景気敏感株である日本株がやや売られ気味で推移したのは致し方ないところなのかもしれません。


 コロナ感染者数の増加はやはり気になるところなのでしょう。とはいえ、ワクチン接種は着実に浸透しているわけですから、どこかでそれを評価する局面が到来してもいいのではないか、と思うのですが、現実にはなかなかそうならないようです。


 話が飛ぶのですが、英国は新規感染者が日々1万人を超えるという状況でも、コロナ対策の緩和を実施する、とのこと、イギリス人は実務的なのだな、と改めて感心しました。ワクチン接種の普及でコロナによる死者が膨大な数出る、といったことがなくなったのだからロックダウンなどの締め付けはもはや止めよう、ということですから日本の感覚とはずいぶん違っているようです。


 すでにワクチンはあるわけですから、あとは治療薬がそこそこ出て来れば、COVID-19はふつうの風邪に過ぎない、となるのかもしれません。わが国ではなかなかイギリスのようには行かないのでしょうが、現実の今の街中を眺めていますと、大都市に住むひとたちの意識はすでにイギリスと同じようになっているのかもしれません。


 アメリカ株は、金融相場におけるゴルディロックス状態から実にスムーズにシームレスで業績相場におけるゴルディロックス状態に移行しようとしているのかもしれません。


 早めの夏枯れ状態を脱して、どこかでワクチン相場なのか、総選挙相場なのか、(外国人買いによる)円高歓迎相場なのか、いずれにしても上昇局面を見ることができるような気がしている(期待している)のですが、さてどうなりますか。


コロナで変わったこと

 K字回復と言われてまさにその通りなのだと思います。ある意味で経済が余裕を持てなくなっているという反面、特に事業環境が悪化したわけではない、むしろ追い風になったという企業群もあってなかなか変化を表現するのが難しい気もします。


 日本経済全体で見れば、法人税収が史上最高になった(2021年3月期)ということからしますと、不況だったとはなかなかに言えない訳ですが、一方で明らかに苦境に立たされた業種もあったわけで、リダンダンシーの消失という印象を持ちます。


 コロナで変わったことの中には、元に戻らないだろうと思われる変化もあります。働き方の変化、企業の行動の変化(交通費、会議費などの使い方の変化)等々。


 K字回復の過程で、酷い目に会ったままという状況の人たちもいます。そういう人たちへの救済策がどういうものが実質的に有効なのか、まだ社会も政府もよく分からないでいるというのが現状のようです。


 それから、一番大きな変化として金融緩和を忘れるわけには行きません。これだけの金融緩和をしたのですから、この先どこかで不良債権の増加、その処理といったプロセスは覚悟しなければならないのでしょう。


 それから、いわゆるじゃぶじゃぶ状態にした金融環境、下手にいじれないという状況になって、今のところ為す術がないという状況なのだろうと思います。軟着陸を目指してこれからどうなって行くのか注視を怠れないということでしょう。


2021年7月9日

証券アナリスト

松下律 

日本売り?

松下 律

2021/07/01 23:27

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悪い円安

 月末安アノマリー、日銀短観、米雇用の動向、に注目の集まった週だったと思います。もちろん底流には米国発のインフレ、コロナ感染の拡大などがありますが、月末安アノマリーは規模は小さかったもののその通り、日銀短観は非製造業景況の回復が光明、といったところのようです。


 米雇用は月初の統計数字が今日の夜発表になります。数字の予想よりもその反応に注目するわけですが、あまり市場には影響しないのではないかという気もします。良いにせよ悪いにせよもう市場は飽きてきているように思うからです。


 日本株は月末安アノマリーがあったものの、どちらかと言えば動きに乏しいという感じでした。そうした中で円ドル相場はかなりの円安に振れたように思います。すわ悪い円安、日本売り、と言われそうな動きではあります。


 日本株だけでなく、アジア株が全般に振るわないのはやはり市場が中国経済の動向に懸念を持って見ているからなのかも知れません。

日本株は売り崩せると思っている向きからすれば、このところの日本株の下げ程度ではとても満足が行かないだろうと思いますが、米国株は日替わりで各指数史上最高値を更新している状況で日本株を売り崩すというのは簡単ではないのでしょう。


 ボラティリティ(VI)の水準を見ますとしばらくはこのまま動意のない展開が続いて夏枯れ状態になるのかな、と思ったりもします。


 一方で、どこかでVIが急騰するような場面(つまりは急落局面、ということになるのでしょう)が到来するかもしれない、という気もします。


 数週間スパンでそうした変動に賭ける価値があるのかどうか、そのあたりの見極めをしておく価値はありそうです。


より強く損失を意識すべきは?

 投資と投機は分けて考える方がいい、そのための工夫として投資用の口座と投機用の口座を分けて管理すると便利、ということをいつも申し上げているわけですが、なるほどそれはいい工夫だ、と思ってそのようにしている人がいるとしまして、その人に向かって「投資用の口座と投機用の口座と、どちらの口座の評価損が気になりますか?」と聞いたとしましょう。


 さて、どんな応答があるか、興味深い気がしているのです。


 私の結論を先に言ってしまいますと、どちらも気になるでしょうし、どちらが気になるか、という問題でもないのかもしれませんが、評価損を気にすべきという意味では、投機用の口座の方がはるかに重要です。


 投資用の口座の場合、極端な話、評価損などまったく意に介さない、という対応でも別に問題ないかもしれない、とすら私は思います。


 とくに長期投資であれば、結論が出るのは先の先ですから、途中の評価損など気にしないということも言えるでしょうから。


 一方で投機口座においては刻々の評価損を気にかけることが極めて重要です。評価益が出ている状況であれば、それを実現益に変えることができるわけですが、評価損は実現すれば実現損になってしまって、次にはそれを取り戻す算段を考えなければならなくなります。

投機では実現益を積み重ねて行くことを目指すわけですから、評価損になったら何らかの対策を考えなければならないというのが筋なのです。(結論は簡単で、損切するかどうか?ということですが。)


 利食いと損切を繰り返してある期間経過後に利益を残すというのが投機というものでしょうから、ポジションの評価損益は常に見ておかなければならない道理です。


2021年7月2日

証券アナリスト

松下律


テーパータントラム

 8年前のバーナンキ・ショックはよほど多くの人の記憶に残っているのでしょう。今週月曜日火曜日の大きな変動はまさにテーパータントラムと呼ぶにふさわしいものでした。


 ただ、それは「主に」日本株の変動について言えたことのようで、日本株の変動の大きさ、日本株は売り崩せると信じている投機筋がまだいるのだな、という感覚、これは日銀を試しに行ったのかもしれない、と思わせるところもあったように思います。(月曜日、空売り比率は50%超。)


 1000円を超える日経平均の下落を見た今週の月曜日、「前場でトピックスが2%以上下落した」ので日銀は後場ETFを701億円買った、と伝えられもしました。


 実に2か月ぶりの日銀ETF買い、翌火曜日の日経平均873円高は、下落を見て自然に入った買いももちろんあったでしょうが、日銀買いにブーストされた面は強かったでしょう。(日本株は売り崩せると思っていた投機筋は手を引いたでしょうから。売り方からすれば「逆日銀ショック」だったでしょう。)


 これで2%ルール復活、ということではないと思います。日銀ともあろう市場参加者がトピックスが前場で2%下落したら後場自動的にETFを買う、などというできの悪いアルゴリズム・トレーディングをプログラムするはずはない、と思いますので。


 ワクチン接種が順調に進んでいる日本の株を今売り崩すのはなかなか難しいということなのだろうと思います。(一方で、高値に向けてすんなり上昇という展開も想像しにくいのですが。)


 これまで今年も何度も大きな下落局面を経験しています。そのたびにいよいよバブル崩壊か、と思わせるところもあったのですが、まだまだ本格的なバブル崩壊には時間がありそうな感じです。


 株式相場はまだ酒酔いから覚めていない、と言えるのでしょう。仮想通貨はもう大分正気に返りつつあるように見えますが、株式相場はまだまだと言えるように思います。


グリーンスパン氏~パウエル氏

 最初に書きましたように、8年前のバーナンキ・ショックはよほど「使いでのある過去の出来事」と思われているのかも知れませんが、私の感じでは、以下の出来事の方が印象に残っています。


・2004年~2005年のグリーンスパン「コナンドラム」発言 元祖コナンドラム。


・2017年~のイエレン「コナンドラム」。


 短期金利上昇時の「テーパー・タントラム」と金利引上げ期の「コナンドラム」、これらは一連の出来事と見る方が理解がしやすいはずです。


 米国は覇権国家としての勢いを失いつつあるということが長く言われ続けて来ていますが、実際のところは依然として世界最強の経済を有する国として世界の先頭を走り続けています。


 その米国で何か異変が起きるとそれはすぐに世界に波及するのですが、どこかの段階で「米国だけが真っ先に正常化する」という局面を迎えます。(高圧経済+金融抑圧的な政策を使って。)


 回復の初期は米国短期金利が上がる(か、そのように予想される)時です。そんな時に起きるのが、「テーパー・タントラム」なのでしょう。


 そしてその後には、回復する米国経済を買う形で米国への資金流入が増えます。つまり、米国債買いが活発化する、ということです。当然、米長期金利は上がりにくくなるでしょう。米国短期金利が上昇しているのに長期金利は上がらない ⇒ コナンドラム(謎)となる、ということなのでしょう。


 株式市場は、テーパー・タントラムで波乱しますがしばらくすれば落ち着いて再び上昇、となります。(経済が回復して企業収益が好調となるからです。)


 つまり、米国主導の株式バブル相場はまだ終わりに近いわけではないと考える方が妥当、となるのでしょう。(波乱を繰り返しながらこれから本当のバブル崩壊に向けて行くということでしょう。)


2021年6月25日

証券アナリスト

松下律


ワクチンラリー不発、今のところ・・

 明確に29000円を超えられなかった日経平均が今週火曜日ようやく29500円近くにまで上昇して、いよいよワクチンラリーか、と思わせたのですが、FOMCがもたらしたサプライズでとん挫という格好です。


 日経平均は、今年5月13日(14日のオプションSQの前日)に直近安値27385円を付けた後、今週火曜日6月15日には高値29480円を付けており、その間7.7%上昇していますから、そこそこに上昇した、と見ることもできます。


 しかし、今年の高値は2月16日の30714円ですから、今の水準はそれには遠く及ばず、米国ではSP500やナスダック指数が史上最高値をクリアしている、とかドイツDAX指数も同様、などと比較しますと(買い方にとっては)何とも残念な動きではあります。


 ワクチン接種の浸透とともに景気の先行き見通しが明るくなってその結果株価が上昇、という分かりやすい相場展開は日本については見込み薄なのかどうか、よく分からないところですが、またどこかで(1日で1000円とか3日で2000円といった)急落局面を期待している、という向き以外にとってはイライラの続く相場付きのようです。


 見て来たような言い方をするとすれば、オリンピック前くらいまでにサマーラリー(ワクチンラリー)があって、例えば日経平均でワンタッチ3万円を示現して、その後10%未満の反落を見て晩秋~年末相場で今度は本格的な3万円超えの上昇を見る、といったことになるのであれば、目先の多少の波乱は気にならない、ということかもしれませんが、さてそうなるかどうか・・・


 やはり気になるのは史上最高値圏にある米国株なのでしょう。昨日のFOMCの結果を見て大幅に反落して、しばらく低迷ということにでもなれば、それはそれで、金融相場から業績相場へいよいよ本格変貌、などという見方もできそうな気がして来るのですが、それほどの劇的な反応が起きたわけでもなく、どうも多くの市場参加者は様子見になっているような気がします。


 金利の引き上げが見えて来たのは米国経済正常化の証し、一方でインフレ率の上昇はコロナ禍のもたらした一時的な現象、供給サイドの体制が整えばまたゴルディロックス状態に復帰、というのが現時点の一番の楽観的見方、なのだろうという気がします。


 悲観的な想定をしてみるとしますと、資源高による市場価格の混乱、中国経済の変調、地政学リスク、米中摩擦の激化、インフレ⇒米金利の急騰、といったリスクの顕在化によって株価が10%を超える規模の下落局面もあるかもしれない、といったことも考えられるでしょう。


 どちらにせよ、どこかで(あるいは今かもしれません)何らかのポジションに賭ける価値が出て来るかもしれませんので、予断を持つことなく相場を見て行くのがよさそうではあります。


高圧経済と金融抑圧

 現在米国(初め世界中でそうですが)では「高圧経済」が実践されている、とよく言われます。


 財政・金融総動員でとにかく需要を喚起する政策で経済に圧力を掛けて、景気を浮揚し雇用を回復するというわけです。需要の増加に供給が追い付かないとインフレ圧力が強まることになりますが、まずは景気の浮揚と雇用の回復が先、というわけで多少のインフレには目をつむろう、としていると見られてもいます。


 よく知られているように、米国の中央銀行は日銀などとは違って「雇用の最大化」がその役割として定められているので、雇用の回復は大きな目標となる、と言うのです。


 高圧経済と言いますとおどろおどろしいですが、ケインズ政策とか不況対策とか、まあそんな部類の政策と同じという気もします。


 ただ、高圧経済によって雇用の回復を図っても、その歪みは大きく、結局雇用を安定的に守ることはできない、といった反対意見も数多くあるようです。


 今米国経済は、想定上のインフレ率の上昇を受けて微妙なところにいるようです。同じようなことは中国経済でも起きているようで、中国ではいかにもそれ流で資源価格を権力で押さえつけようといったことも行われているようです。


 高圧経済と一対というわけではないのでしょうが、「金融抑圧」という政策もあるとのことです。


 金融抑圧とは、「簡単にいうと、市場実勢に比べて著しく低い水準に金利を規制する政策のことである。 金融抑圧という用語は、元々はマッキノンやショーといった国際経済学者によって使われ始めたもので、(1980年代に始まる金融自由化以前の)新興国の金融システムのあり方を特徴付けるためのものであった」のだそうです。


 高度成長期のわが国では政策金利が意図的に低く抑えられていた、とよく言われますが、成長のために設備投資を活発にするために、植菌して設備投資するのが有利という状態を創り出すために低金利政策が実行されていたということでしょう。金融抑圧の一種であったと言うことができるでしょう。


 コロナ禍に対応するために世界中で超金融緩和と巨額の財政支出が実行されたわけ(まさに高圧経済)ですが、その結果として各国政府は巨額の負債を抱えることとなり、中央銀行は資産の肥大化を受け入れています。金利はどこの国でもほとんど消滅しました。金利がゼロになる前にインフレ率も急激に低下しましたから、実質金利が大幅に下がるというようなことは起きていませんでした。


 さて、ということで、そういう状態が永久に続くことはなかろう、と、まさにそのとおりで、コロナの悪影響が後退するに連れてインフレ率は徐々に上がりつつあります。カネ余りで投機資金が資源市場に流入といったこともあって、卸売物価が急騰する、といったことも起きて来ました。


 時間が経てば物価は安定するでしょうが、経済が回復するとすればインフレ率はある程度の水準に高まるはずです。そういう状態で、膨らんだ政府負債を順調に返済できるのかどうか?


 例えば米国、政府はこれからも膨大な支出を続けるようです。そうした財政支出をファイナンスできるのかどうか?政府支出の増加が招来インフレと高金利を引き起こすことにならないだろうか?そうなれば、どこかで株価の急落といった状況が到来するかもしれません。


 そうしたことを考える時、もし米国が金融抑圧に成功するなら、実質的に政府の債務を順調に減らして行くことができるのかもしれません。高圧経済と金融抑圧の両方で見事に成果を挙げる、という偉業を、米国経済は達成するのかもしれませんし、大きな代償を払うことになるのかもしれません。


2021年6月18日

証券アナリスト

松下律