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松下 律 の投稿

下げ止まったような・・

 空売り筋すら戸惑うほどの混沌状態という気がするのですが、それぞれそれなりに一旦織り込んだというところのようです。引き続き米中摩擦(今現在はファーウェイ問題に焦点)、FRBの金融政策に対する議長のコメントが最注目ですが、年末に向けて多少は相場戻すという展開を想定していいところではないかと思います。

  

 日経平均が昨年末の水準を超えるために必要な上昇幅は、あと1000円弱です。今年の残りの営業日数は10日です。10日で1000円の上昇ならそんなに難しくないかもしれません。せめて日経平均だけでも年間上昇を見たいものです。


 先週は、ファーウェイ・ショックとともに、逆イールド・ショックがあったわけですが、さて来週のFOMC、まさかトランプ氏の口撃に屈して利上げ見送り、ということはないでしょう。(NYダウが1000ドル安などとなれば利上げを見送るかもしれませんが。) 0.25%の利上げは実施されるとして、さて、FRB議長の政策決定後の声明と株式市場・為替市場のそれに対する反応は?大いに気になるところです。


 FOMCで利上げ実施決定→ただし、ここからの利上げは経済情勢を見て実施するとの発言→来年の利上げペース鈍化観測→株価上昇、といったことになるのがベストのように思います。


 難しいのは日本で、米利上げペースの鈍化→ドル安・円高→日本株は売られる、となる恐れもありますので油断できないところです。もっとも、長い目で見れば、株高=国力の増進=通貨高=(日本の場合は)円高、ですから、日本株上昇には円安が不可欠といった感覚はだんだん薄れて行くのかもしれません。


ROE

 たびたび話題にして来たことですが、今から20年くらい前には、わが国には「ROEなど眼中にない」と広言する経営トップがいました。今では考えられないことですが、つい最近でも「デフレの真犯人は高いROEを求めること」といった論もありました。いろいろあっても、今の日本の経営トップは「ある程度高いROE水準(伊藤レポートによれば最低8%)があって当然という考えになっていると思います。


 ROEを上げる=株主に利益をもたらす=(相場がそれを評価して)株価が上昇する、ということを想定していたのですが、今現在日本ではそのようにはなっていません。ROE上昇→一株当たり利益の向上、はある程度実現していますが、起きたことは株価の上昇ではなく、「PERの低下」です。(今のところ、ですが・・・)


 原因は様々な要素が複雑に絡んでのこと、となると思いますが、「市場参加者の将来への期待の低さ」と「株式需給の悪さ」を重要なポイントとして挙げることができるような気がしています。それぞれについて、これからどうなって行くのか?断言はできないのですが、「遅々として進む」のがわが国の特質であるとするなら、これから数年を掛けて様々なことが起きてやがてPERの水準が今より高い状態がふつうのことになる、という方向に進むのでしょう。 


継続チェック

1.マクロ景気と企業収益

→世界的に来年の成長率は下がるのでしょう。大きく下がらなければよしとする、となると思うのですが、最悪リセッションに陥らないために、米中の経済政策に注目しておくことが重要かと思います。企業収益では、ハイテク企業への逆風は続くのではないかと思います。一方、個人消費関連であればさほど収益悪化はないのではないかと思います。


  2.成長分野の株価

→ FANG系は下げ止まるとしましもまだ要注意でしょう。わが国であれば、東京エレ、信越の株価を下げ止まりを何時と見るか、という観点で注視しておくべきかと思います。


  3.日米欧の金融政策と金利・資金移動

→FRBの19日の決定、決定後のパウエル議長の発言と相場の反応を注視しておきたいと思います。おそらくは市場にポジティブなインパクトを与えるのではないかと個人的には予想しています。


  4.資源価格・物価

→ 原油価格の低迷が依然気になります。ただ、原油価格は来年の景気後退を過度に織り込んでいるように私には思えます。


5.地政学リスクと覇権争い

→戦争の危険、といったことより、米中の覇権争い、EUの不安定さが地政学リスク的に気になるところです。


6.投機筋の動き

→ ここから年末・年始に向けては動きは活発でなくなるのでしょう。買いに賭ける場面の方が多そうに思いますが。


7.株価と利益のバランス

→FANG系の銘柄は割高感がかなり薄れて来たものの、まだ十分下がってないのかもしれません。日本株はどこで何をきっかけにPERが上昇するか?確たることが分からないのですが、何かが起きるのでしょう。


2018年12月14日

証券アナリスト

松下律

華為技術有限公司孟最高財務責任者逮捕、是否対環球経済新規大悪材料的?

 米金利上昇懸念が少し薄れ、米中摩擦もトランプ・周会談で若干の進展、FANG系銘柄の株価下落も多少は落ち着いた、と思った矢先に、今週ふたつの「ショック」が世界の株式市場を襲うこととなってしまいました。


・米金利の逆イールドカーブ・ショック

・ファーウェイ・ショック


 今更解説はいらないことかと思いますし、蒸し返しと言えばその通りなのですが、売り方・投機筋からすれば格好の売り材料を得た、といったことになってしまったようです。別に目新しい情勢の変化ということではないと思いますが、今はこういう材料に空売り筋が飛び付く環境だ、ということしか言いようがないのでしょう。 

 

  逆イールド・カーブについては、短期(の政策金利)と景気に対して中立金利と言われる水準にある10年国債利回りとの間で見れば、まだ逆転していないのですが、事前の刷り込みで、逆イールド→1年後辺りの景気後退→企業収益悪化、という条件反射があまりにも周到に準備されていたようです。


 ファーウェイ・ショックについては、実際に逮捕されたのは12月1日だったとのことですが、大々的に報道されると、売り方が大喜びする反応を世界の株式市場が見せたようです。まあ、日産の元CEOより、HUAWEIの副社長の方が今は重要人物だということだということがよく分かりましたが・・・いずれにしましても、 アップルの幹部はしばらくの間は中国に出張しない方がいいでしょうね。 

 

 実はこのふたつは株価への影響という意味では同じでして、どちらも近い将来の世界的景気悪化→企業収益へのマイナス→株価下落要因→それを見越して現在の株式保有者が売るはず→投機的な売りに妙味あり、という経路で繋がっているわけです。 釈然としない部分はあるのですが、現実に相場で起きていることですから、いずれにしましても何らかの対処・対応を実行せざるを得ないということになってしまいます。


 買い方、売り方、短期、長期、と、立場によって対処・対応は異なる可能性がありますが、基本、レバレッジを掛けた買いポジションは避けることにしましょう、ということにはなりそうです。レバレッジを掛けた買いポジションになっていないのであれば、特に心配することはない、投機筋の動きで相場が荒れるのは致し方ないと思う、というところなのかもしれません。


本当に気になること

 株式相場は株式相場ですから、上がろうと下がろうと愉快も不愉快もない、短期トレードをするとなれば、相場を読み間違えれば損をする、しかし、個別銘柄で長期に期待するならホールドすればいい、といったことに過ぎない気もします。


 それはそれでいいわけですが、日本の株式相場を見ていますとしばしば無性に腹が立つことがあります。例えば、2016年6月24日の相場、この日英国の国民投票で「ブレグジット」が決まったのですが、その日1日で日経平均は何と1286円、率にして7.92%も暴落したのです。この下落幅は歴代で第8位、下落率は9位です。


 朝鮮半島で戦争が勃発した→日経平均暴落、というのであれば理解できなくもないわけですが、ほとんど地球の反対側でイギリスがEUから離脱すると国民投票で決めた、などということでどうして日本の株価が歴代10位以内に入るような暴落を演じるのか?


  2年前のことは忘れるとして現時点を見ます。なぜ、日本株のPERがこんなに低いのか? 私は、以前は、ROEが低い、というのが一番気に入らないことでした。(ROEなど眼中にない、と広言するする経営トップもいましたから・・) 幸いなことに、日本企業は収益力を高めて、今ではROEは8%を超える企業が多くなっています。実証研究によれば、ROEが8%を超えると、PBRが1倍を大きく超えるようになる、ということではなかったのか?


 若い人たちは、FXや仮想通貨に興味を示して実際に扱ったりするのに、何故日本株にはさしたる興味を持たないのか?あるいは、空売り比率がどうしてこんなにも長い期間高止まりするのか?


 株式投資をする人たちの間にあるある種の敗北感、と言いますか、ひねくれた心情、素直さのなさ、将来を期待しようとしない風潮、といったことを感じるのは何故なのだろうか?


 日本経済の潜在成長率が1%に満たないと言われてもあまり反論が出ない。あるいは、日銀が日本株のリスクプレミアムが大きいのでETFを買うと説明してもあまり論議もない。私は聞きたいのですが、来年あなたの収入が10%増えたとして違和感を感じますか?別にさしたる違和感はないでしょう? 日本人の生活水準を引き上げる、という目標に焦点を当てれば、潜在成長率など簡単に引き上げることができる、という気がわたしにはするのですが・・・ 

 

 結局、日本と日本人が、主体的に動けないもどかしさがあるから、なのかもしれません。しかし、わが国とわが国民が主体的に動きたいのであれば、主体的に動くと決めたとたんにそのように動けるはず、と私には思えます。  そうなれば平均PERが少なくとも今より3割は上に行くと思いますが・・

 

2018年12月7日 

証券アナリスト   

松下律

戻りに期待

松下 律

2018/11/30 08:15

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株価は上に行きたがっている? 

  10月の暴落商状から、反発→再び下落→二番底確認から回復基調、というふうに見えます。いろいろあっても日本株は割安なのだし、せめて昨年秋からの落ち着きゾーンの日経平均22500円水準は上回ることができるのでは?という雰囲気が漂い始めたように思います。 

 

 このところ、日経平均の方がNYダウより動きがいいように見えます。遅れを取っていた分を取り戻しつつあるのかもしれません。(NYダウと日経平均のサヤを見ますと、今は3000ポイントくらいビハインドですが、今年の年初は2000ポイントくらい、一昨年末はほぼ同水準。) 11月下旬から12月上旬は日本株は上昇しやすいというアノマリーが今年もありそう、ということかもしれません。 

 

 それにしましても、FANG株の下落がある程度落ち着き、米金利の引き上げも終盤近そう、となった今、米株の動きはほぼ米中貿易摩擦の帰趨に左右されそう、という風にに見えて来た、というのは驚くべきことです。 

 

 そこまで単純なら、米中貿易摩擦沈静化に賭けてロングポジション、ということでいいのかもしれません。12月1日のトランプ・周会談が大変調ということもあるのかもしれませんが。(しかし、そうなって株価大幅下げなら買い場提供でしょうね。) 

 

ということで、来週から再来週の米株、日本株相場には大いに注目です。 

 

再度10月の暴落を振り返る 

 ここで再度10月の暴落を振り返ってみたいのですが、まずは、 

1 暴落の性格 

 これは、1.今年2月のVIXショックタイプ、2.2015年夏以降の「チャイナショック」、3.リーマンショック、のどのタイプだろう?というのがひとつ。リーマンショック型はまずなさそうですから、1.か2.か?となるわけですが、どうやら、1.のタイプ、つまりは、経済ファンダメンタルズの乱調とか、金融危機などから来る暴落ではなく、テクニカル要因による面の強い暴落だった、と言えるようです。(まだ、確定ではありませんが。) 

 

 としますと、今年年末~来年初に掛けてかなりの規模の戻りがありそう、ということになります。いずれは、世界的にリーマンショック級の暴落相場が到来するだろうと思いますが、今ではない。リーマンショック級の暴落を期待して空売りした投機筋がいたとしたら、それは早とちりだった、ということになるように思います。 

 

2 見通し 

 来年後半以降のことは別に考えるとしまして、10月の暴落以後どの程度の戻りを期待することができそうか?と考えてみます。今回の下げは以下の3つの要因の組み合わせによるものだった、と見ることができるように思います。 

 

1.米金利の上昇:金利上昇→世界景気の後退懸念 

2.FANG系の銘柄の株価下落→株式市場からの資金流出 

3.米中貿易摩擦の激化→中国経済の変調、資源価格の下落、中国の金融不安 

 

 それぞれが強く関連している現象で、要するに世界経済の低迷に結び付く→企業収益の悪化→株価下落、というシナリオに売り方が大きく賭けるようになるかどうか?なったかどうか?ということなのだろうと思います。 

 

 日経平均で見ますと、10月にはおよそ3000円幅で下落したわけですから、上記の1、2、3の要因でそれぞれ1000円ずつ下落した、と考えてみます。 

 

 今現在、振り返りますと、 

1.米金利の上昇:そろそろFRBの中にハト派が増えて、来年には金利引き上げが抑制されそうだ、というのが今現在。としますと、この要因で下げた日経平均は、少なくとも下げ1000円の半分くらいは回復しそう、という感じでしょう。 

 

2.FANG系の株価下落の悪影響:株価はそろそろ割高感が薄れる水準に下落した→下げ止まり、となった。としますと、この要因でも500円くらいは日経平均回復しそうです。 

 

3.米中摩擦の影響:これは分かりにくいですね。かんたんに解決しそうもないわけですが、株式相場が気にしなくなる、という状態には案外簡単になるかもしれません。そうなれば、日経平均で1000円規模の上昇をもたらす可能性もなくはないかもしれない、と。 

 

 以上合計して、情勢が好転すれば日経平均は1500円~2000円は戻りそうだ、となるかもしれません。日経平均の当面の底をだいたい21000円とすれば、当面日経平均が22500円~23000円辺りまでの戻っても不思議ではない、ということになりませんかね。(すでにだいぶその水準に近づいています。) 

 

Carlos Ghosn is gone... 

 日産のゴーン氏が逮捕されたというニュースを聞いた時に、どんなことを最初に思ったか?ということに興味を持ちます。 

 

1.あんなに実績をあげた尊敬すべき経営者が逮捕されるとは驚いたし残念だ。 

2.以前から胡散臭い人物だと思っていた。いつかこんなことになると思っていた。 

3.今回の事件は日産内部の陰謀ではないか。 

 

 という3択にしたらどんな回答が多いでしょうか?いずれにしましても、ゴーン氏に名誉博士号を授与した法政大学と早稲田大学にとっては不名誉なことです。 

 

 いずれにしましても、コーポレート・ガバナンス上大問題だと思いますが、それは特に日産だけの問題ではなさそうですし、この手の材料は、少なくとも株式市場的には、あと2週間もすれば忘れ去られてしまうでしょう。 

 

 ただ一つ、ここからルノーと日産の間で主導権争いが起きて、ルノーが日産株を買い増すとか、対抗して日産がルノー株を買い増す(現在15%の持ち株比率を25%に引き上げると、日本の会社法の規定でルノーの保有する日産株議決権が消滅する)などという思惑が大きく出て来れば、日産株が相場になる可能性もあるかもしれない、という点は興味の残ることです。(そう言えば、しばらく前に、創業家同士の争いでポルシェ株が暴騰したことがありましたね。事情は違いますが、要は「思惑」が強く働くどうか、ということですから、可能性が無くはない、というところでしょう。) 

 

  ところで、どうも今回の初動は別件逮捕のような気もしますが、有価証券報告書の虚偽記載で本当に起訴して裁判に勝てるのでしょうか。ゴーン氏側は、聞きようによっては金融庁に対してノーアクションレターを出して回答ももらったようなことを言っているようですし、もちろんノーアクションレターの制度は有価証券報告書の記載方法を確認するためのものでもありませんが、とにかく情報が断片的ですので、よく分からないところです。 

 

  ひとつ面白いと思ったのが、10年くらい前にゴーン氏が自分の投機の失敗を10数億円分日産に付け替えて、それについては金融庁も把握(おそらくは銀行への検査を通じて)していたが、特にお咎めなしだった、という話です。 

 

  わが国には、証券取引等監視委員会があり、不公正取引に対して調査の上課徴金を課すという制度があります。(悪質だと逮捕されますが、たいていは課徴金レベルで済むでしょう。) 

 

  毎年、その課徴金の実績について公表されているのですが、昨年度分について見ますと、課徴金勧告件数は26件、課徴金の最小額は2万円だったとのことです。課徴金は重複して課されることがありますので、一人に対して課徴金の最小額が2万円だったかどうかは分かりませんが、いずれにしましても、個人の株式取引に対して、不正があったとして高々数万円の課徴金の事例でも勧告があった、ということです。 

 

  数万円の課徴金を課す悪事を摘発し、10数億円の悪事は見逃していたとしますと、少額の課徴金を課された個人は、自分は課徴金の金額が少なくてよかった、とは思わないでしょうね。(この件については、金融庁の指摘でゴーン氏が個人勘定に戻した、との報道もあります。) 

 

継続チェック 

1.マクロ景気と企業収益 

→米国は依然として住宅関連が懸念材料、欧州はドイツ景気の悪化が気になります。ドイツ経済の悪化は、まず確実に自動車輸出の不調、つまりは中国向け輸出の不振が原因でしょう。その辺りが今後どう影響するか?注意して見ておくべきかと思います。わが国景気はこれから徐々に上向くのでは? 

 

  2.成長分野の株価 

→ 2割下がると弱気相場入りなどと言われますが、株価が下落し続けるというイメージではなく、投げが出ることがある、とか、前の高値を抜けるのに時間が掛かる、という意味合いに取っておく方がいいように思います。 

 

  3.日米欧の金融政策と金利・資金移動 

→FRBは12月に金利を引き上げるのでしょう、が、どうやらハト派に宗旨替えの理事が主流になりそうですね。 

 

  4.資源価格・物価 

→ 原油価格の低迷が気になります。これから需要期に入りますし、そろそろ下げ止まるのでは、と思えるのですが。 

 

5.地政学リスクと覇権争い 

→いろいろありますが、どうもウクライナ、ロシアが薄気味悪いですね。ウクライナの背後にEU、という構図になりかねませんから、欧州はこれからブレグジットだのイタリアのわがままだのと呑気に構えていられなくなるかもしれませんね。結束できていいのかもしれませんが。 

 

6.投機筋の動き 

→ ここから年末・年初に向けて買いポジションで投機しようという向きが増えて来るのではないかという気がします。 

 

7.株価と利益のバランス 

→FANG系の銘柄も割高感がかなり薄れて来た、日本株は超割安、という見方でいいのではないでしょうか。 

 

2018年11月30日 

証券アナリスト   

松下律

下値には買い

 10月の暴落商状からは脱して下値に買いが入るようになったと見えますし、ひどい状況だった新興市場も回復し始めたかも、と思えるようになって来ています。これでようやく相場は回復過程→年末高期待、となりそうなものですが、市場参加者の心理は冷え込んだまま、のようです。


 原因はいくつもあるのでしょうが、大きいのは米国のFANG銘柄の株価下落かもしれません。それと、依然として不透明な米中関係、といったところでしょうか。さらには、英国、イタリア、EU情勢、原油価格の下落、米金利の上昇(インフレ懸念)等々、相場が弱くなるとありとあらゆる悪材料が気になるようです。


 10月の下落が大きかったことは確かですから、この下げがこの先、2015年夏~2016年春の下落時のような、比較的長い期間の弱気相場につながる恐れがあるのは確かだろうと思います。しかしながら、2015年夏からの「チャイナショック」時の下落相場でも、2015年10月~11月の期間に日経平均が3000円規模の反発を示したわけですから、ここから年末までの間に日経平均が2万4千円水準に戻ったとしても別に不思議なことではないようにも思います。


 重要なことはポジションの状況で、特に大幅な買いレバレッジを掛けている、ということでない限り、年末に向けての相場回復(上昇)を期待するという手は無くは無いという気がします。


 米FANG銘柄の下落もしばらくすれば成長企業の株価にありがちな大きな変動、といった感覚で落ち着くでしょうし、米中については、月末の米中首脳会談で何らかの前向きな話しが出て来るかもしれません。弱気に傾いた相場が想定以上の好材料を受けて急反発ということがあってもおかしくはないでしょう。(以前のように株価下落時に日銀が追加緩和で相場に活を入れる、という手がもうないのは残念ですが。代わりに、日銀のETF買い、年金の買い、自社株買いに期待したいものです。)


 そうなると決めつけるわけには行きませんので、くれぐれも買いレバレッジの掛かったポジションにはしない方がいいと思いますが、このまま低迷相場が続くと決めてしまうのもリスクのように思います。


企業業績→バリュエーション

 4-9月の決算発表はほぼ終了して、上期の業績は予想以上に好調ながら各企業とも下期には慎重で、数字だけを見れば下期の企業業績は減益ということになります。単に慎重なだけなのか、本当に減益になるのか、現時点では決めつけることができないわけですが、視界良好というわけでないのは確かなようです。


 企業業績のモメンタムが下向き、ということで株価に下落圧力が掛かる、というのは理解できることなのですが、だから市場平均PERが12倍台であるべき、なのかどうか、はよく分からないところです。海外勢の売りが需給を悪くしているのは確かでしょうから、海外勢の売りがこのまま続くのか、どこかで変わるのか、これは不透明としか言いようがないのでしょう。


 個別銘柄、セクターが材料をきっかけに賑わうといった相場付きになれば買い方にとっては安心となると思うのですが、アルゴ全盛の今はなかなかそういう相場付きになりにくいようです。国内個人の市場参加者の動員力という見方をしますと、ずいぶん寂しい状況になってしまっているようです。


アップル・ショックはショックか?

 ようやく落ち着いて来たか、と思われた矢先にアップル株の急落に見舞われた米国株ですが、アップル株価がPER20倍から16倍に下がったからと言って、それほど大きなショック(であるべき)なのかどうか?よく分からないところです。


 それよりも、いかに多くの機関投資家のポートフォリオがいわゆるFANG銘柄に傾斜していたか、ということを改めて感じさせる現象でした。


 アップル株については、株価バブル崩壊を恐れるより、スマホ・バブル崩壊を恐れるべきではないか、と個人的には思っています。アップルという会社は単にスマホの供給者ではありませんが、現時点ではスマホを売ることで大きな儲けを得ていることは確かでしょう。(つまり、アップルブランドのスマホは高く売ることができている、ということです。)


 としますと、そういう優位な状況がいつか終わるかもしれない、ということはいつも考えておかなければならないことでしょう。将来の見方はいろいろでしょうが、私は個人的には、アップルがスマホで大儲けできた時代は去りつつある、という感じを持ちます。


日本企業への影響

 アップルのスマホ売上のモメンタムが弱くなれば、アップルへの部品・部材供給者が悪影響を受ける、となって世界中のサプライヤーが一蓮托生となるのかもしれません。少なくとも株価には下落圧力が掛かるでしょう。日本企業も同様です。


 ただ、素材・部品供給者はアップル一社に製品を供給しているわけでは当然ありません。特に日本企業は素材・部品分野でとりわけ強い競争力を持っていると思われますから、アップル・ショックへの耐性の強い企業が多いのではないかと想像します。同じことは、半導体製造装置や機械類などの資本財分野でも言えると思います。


 そうであるので、例えば村田製作所の株価は、市場平均より高い20倍弱のPERで評価されているのでしょう。では、PER10倍の東京エレクトロンはどうなのか?割安なのか、妥当な評価なのか?答えは「将来予想に依存する」ということになるわけですが、では将来をどう見るべきなのか?答えはなかなかに難しそうです。


 いずれにしましても、日本企業が過去20年以上も掛けて生き残りの策として選択し、結果としてグローバルに通用する競争力を獲得して来た分野の代表が、高機能素材、高機能部品、一部の資本財であることは確かです。


 ハイテク素材、電子部品、資本財、この辺りがグローバル視点からの日本株の選択ポイントであることを銘柄選択の視点にしておくことは依然有用のようです。


2018年11月16日

証券アナリスト

松下律

予想とおり?

 米中間選挙は「ほゞ」予想とおりの結果で、それを受けて米国株価は大幅上昇、昨日の日本株もそれなりの追随、というのが今回の「イベント」通過の成果でした。 

 

 民主党の下院過半数奪還が米国株の上昇に直接的に結びついたとはなかなか考えにくいところですが、案外トランプ流が行き過ぎることに懸念を抱いていた市場参加者も多かったということで、米国民が示した「バランス感覚」に安心して株が買われたという面もあったのかもしれません。例えば、これ以上トランプ流で進むと、金利のいっそうの上昇とかグローバル企業の収益への悪影響、といったことは確かに市場参加者の懸念としてあったのでしょう。  

 

 中間選挙が米株価にマイナスに影響することはなかった、過去の例を見れば、選挙結果がどうであっても、ということのようですので、ここからしばらくは、10月の暴落の修復相場となる、と言ってもよさそうです。 

  

 業種、銘柄を見ますと、今年夏まで数年に亘って将来の成長を織り込むだけ織り込んだ、といった水準にまで株価が買われて来た、いわゆるFANG系の銘柄に新規投資しようとなると躊躇しますが、全体として見れば米国株は、株価の下落でそれほど割高でもないという株価水準になっているのだろうと思います。 

 

 いわゆるFANG系の銘柄が相場上昇をリードするという展開は想定しにくいのですが、市場全体では戻りが本格化して、年末~来年初にはまた新高根を窺う、といった推移になるのかもしれないなという気になります。 

 

 日本株についても同じようなことが言えるのではないか?ということで、ここから順調に戻って年末~来年初には日経平均2万4千円超え、となれば順調と言えて、今回の10月暴落も、下落率は大きかったものの、よくある反落局面のひとつだった、と言える、と思います。 

 

 それにしましても、11月~年末に向けて株価が戻るとしますと、改めて10月の暴落は何だったのだろう?と思ってしまいます。 

 

 米金利上昇、米中摩擦、これら二つがこの10月の暴落の「犯人」とされていますが、より本質的には、「これらによって」企業収益が打撃を受ける→株価下落懸念、というのが暴落の理由というものでしょう。 

 

  最近のデータによりますと、7-9月GDPのマイナス成長観測、9月の消費支出―1.6%、9月の機械受注大幅減、など、何とも薄気味悪い数字のオンパレードです。これでも、来年10月には消費税を引き上げる、ということになるのでしょうし、市場参加者が先行きに不安感を持つのの無理からぬところです。 

 

 とは言え、日本企業の収益力(ROE、ROAなど)は着実に高まっていますし、何はともあれ、今年の企業業績は増益方向と見られますので、PERが少しは上昇する(つまりは、リスクプレミアムが低下する)という形で日本株相場は戻るというシナリオをメインにしておくのが妥当なのでしょう。その後、相場がチャイナショック時のようにならないかどうか、よくよく検討することにします。


継続チェック

1.マクロ景気と企業収益 

→米国景気は好調持続のようですが、インフレ⇒金利上昇を気にしている(あるいは期待している)市場参加者が多い印象です。賃金上昇率とインフレ率、それをFRBがどう政策に反映させるか?注視しておく必要があるとは言える局面なのでしょう。日本はどうも消費の減退が気になるところです。デフレからの脱却の大事なところで個人消費は落ちるし設備投資もどうなるかよく分からないということで心配な状況です。ただ、円安もあって企業収益がそこそこ好調なので、株価への悪影響は避けられるかなといったところのようです。


  2.成長分野の株価

→ 米国のFANG系銘柄は株価が多少下がったとしてもさすがに高PERで新規に買う気にはならないでしょう。逆に日本は東京エレクトロンなどが典型ですが、かなり低PERにまで株価が下がっていますので、新規買いを考えてもいいという銘柄が増えていると思います。


  3.日米欧の金融政策と金利・資金移動

→FRBは12月に金利を引き上げるのでしょう。しかし、その後については、果たして金利引き上げを継続できるのかどうか?疑わしい気もします。もし引き上げるとすれば、それは悪い金利引き上げになってしまうような気がします。わが国は、金利を引き上げるどころの話ではない、というのが経済の実態でしょう。来年の消費税引き上げの悪影響をどうやってカバーするか?このことが最重要課題のように思えます。

 

  4.資源価格・物価 

→ 数週間前は、金価格が上がらないのと原油価格が下がらないのが私にとって「謎」でしたが、ようやく金価格は堅調、原油価格は下落、となって来たようです。しかし、今度は、あまり資源価格が下落すると、それはすなわち世界景気の成長減速、新興国の苦境、となりかねないわけで、それはそれで困る話です。原油価格がどこで下げ止まるか、よく見ておきたいと思います。


5.地政学リスクと覇権争い

→トランプ流の政治であれば、地政学リスク⇒戦争、ということにはならないのかもしれません。中東地域の地政学リスクは依然懸念含みですが。純粋な地政学リスクではありませんが、EUは問題山積でしょう。異なった国が共通の通貨を持つというのは想像以上に大変なことなのだと思います。イタリアが独自の予算を作りたいなら、ユーロから離脱してまたリラに戻ればいいだけのことです。そうなれば、リラが暴落して「市場の規律」が働きます。ユーロではそうは行かないから制裁だの何のという話になりますが、予算は国内問題なわけですから、そう簡単に受け入れられないでしょう、イタリアとしても。ということで、ユーロは不安定にならざるを得ない、と。メルケル首相のリーダーシップも全く通用しなくなるでしょうし、EUはこれからも大変でしょうね。投機筋の狙い目でありつづけるということでしょうか。

 

6.投機筋の動き 

→ 10月の暴落で売り筋は十分満足でしょう。11月は、買い方が少し満足する相場になる、そうならないとけっこう不快ですよね、買い方及び投資家は。


7.株価と利益のバランス

→世界的に株価が市場全体として割高、ということはなくなったように思います。日米を比べますと、米国株は割安感が日本より小さい、という気はします。日本株は、リスクプレミアムさえ小さくなれば上昇余地がかなりあるでしょう。そのリスクプレミアムがなかなか小さくならないのですが。

 

2018年11月9日 

証券アナリスト  

松下律