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松下 律 の投稿

トランプ、パウエル、両プット

 今週は多くの市場参加者がFOMCに注目して、今回のパウエル・プットの効果は?という目で見ていたように思います。


 しかし、その前日にトランプ・プット炸裂でNYダウが一気に市場最高値まであと少しという水準にまで駆け上がる展開となりました。(トランプが習近平と電話で話した、というだけのような気がするのですが。)


 パウエル・プットだと、日本株には円高によるマイナスがある、というわけで素直によろこべないのですが、トランプ・プットは丸々日本株にもプラス、ということで日経平均も上がったのはありがたかった、と言えると思います。


 何やらまた、ゴルディロックス相場に戻れそうな気配もあって、何しろNYダウは新高値圏ですから、米株の売り方は難儀していることでしょう。(下落した半導体関連株のショート筋は別として。)


 米国株は史上最高値近辺、一方日本株は上がったと言っても今年の高値に全く届きもしない、ということでずいぶん差がありますが、セル・イン・メイに続いてセル・イン・ジューンにならなくてよかったという気はします。


 気になる材料は?と見ますと、米中摩擦・中東情勢は言うに及ばず、これまでさんざん言われて来た、各種の「グレー・リノ」は存在したままです。


 中国や新興国の債務問題、米国企業の社債≒CLO問題など・・米国株の投資家たちは楽観が過ぎるのではないか?と思う人も多いに違いありません。


 しかし、買い方としては楽観だろうが何だろうが、株価が上がる方に賛成、「バブル相場」になってほしい、と思っているかもしれません。


 トランプ大統領のもとでパウエル議長がホイホイ利下げして量的緩和も再開すれば、投機的な買い方にとってこれ以上ないという相場展開になる可能性もあるでしょう。(先週のゲストの武者さんの言う、今が壮大な株価上昇の入り口、ということかもしれません。リーマン・ショックの前夜ではなく。)


日経平均4万円超えの条件

 日経平均という指数は、2000年夏の銘柄大幅入替で中身がすっかり変わってしまいましたから、1989年末の3万8千円台と、今の2万1千円台を比べるのは変なのですが、指数は指数ということで同じ目で見られるのはおかしくないことです。


 さて、日経平均が4万円超えになるために何が必要なのか?今の株価の2倍になればいい、ということですが、以下いくつか考えてみます。


・利益の増加で4万円を超えるには?

 上場企業の純利益は現在のところ約30兆円で、日経平均のPERはだいたい12倍です。これが60兆円になれば、同じPERで日経平均は4万円を超えるはずです。しかし、これは向こう数年で、と考えるとなかなかハードルが高いでしょう。


・PERの上昇で4万円を超えるには?

 現在のPER約12倍が24倍になればいい→これもかなりハードルが高い、でしょう。(日本株が成長株だらけ、となる必要がありますから。)


・PBRの上昇で4万円を超えるには?

 現在のPBRは1倍そこそこですから、これが2倍になればいい→これはつまり、ROEが20%くらいに向上する、ということですから、やはりハードルが高いでしょう。


米国並みになれば・・

 米国と日本の各種株価指標を見ますとだいたいこんな感じです。(2019年5月末時点)


・時価総額:日本は385兆円、米国は2,629兆円で、約6.8倍

 膨大な差というイメージです。

(浮動株調整をしているそうですので、日々見る統計数字と異なります。)  


・企業の純資産:日本は321兆円、米国は797兆円で、約2.5倍

 この差は、日米のGDP規模の差くらいですから常識的な差に見えます。


・PER:日本は12.4倍、米国は18.8倍→日本株が米国並みのPERになると、日経平均は3万3千円くらいになる計算です。

(株式需給が好転すればなくもなさそうに思いますが。)


・PBR:日本は1.2倍、米国は3.3倍→日本株が米国並みのPBRになると、日経平均は何と5万7千円くらいになる計算です。


 日米のPERの差よりも、PBRの差が大きい理由は、日米のROEの差にあります。


 PBR=PERxROE、ですので、日本のROE、9.7%に対して、米国のROEは17.6%で2倍くらい高いので、PERの差以上にPBRが大きくなるのです。


 米国のPBR3.3倍という数字を見ますと、米国株はかなり「バブル」化している感もあります。(私は、PBR5倍以上はバブルと考えることにしています。)しかし、将来への期待が強く、現に高いROEを達成しているわけですから、すぐに崩壊するバブルという感覚はないのでしょう。


 日本株の場合、なかなかROEが急向上というわけには行かないと思いますが、向こう2、3年を見て、2、3割の増益期待が出て来て、PERが15倍くらいに上昇して、自社株買いによるROEの向上も少しあって、となれば、利益の増加分3割とPERの上昇分3割を掛けて、それに自社株買いによるROE向上分を上乗せすれば、だいたい日経平均4万円を正当化できるようになるのではないかという気はします。



                         2019年5月末


令和元年6月21日

証券アナリスト

松下律

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@shokenanalyst

タンカーー攻撃

 ホルムズ海峡で何者かによるタンカー攻撃→原油価格急騰、という事件が起きています。今日以降の株式相場への影響を注視しています。


日本株は息切れ状態

 6月4日のパウエル・プットのお陰で株価反転上昇と見えたのですが、たった1週間で早くも息切れ、日本株は、という状況です。


 この1種間ほど、日本株は1日の売買金額が2兆円を割り込む日が続いていますが、このことが今の市場参加者の態度をよく表していると思います。つまりは慎重になっている、買い方も売り方も、ということでしょう。

 

 今日は6月のメジャーSQ算出日です。今日1日の売買高がどの程度になるか、SQの水準と今日の相場変動、よく見ておく価値がありそうです。


 5月の株式相場はまさに「セル・イン・メイ」になってしまったわけですが、その後はいくつかの出来事で日本株相場が大きく動いたという印象です。


・5月29日(水曜日)「中国、レアアース禁輸示唆」→世界景気先行き懸念増大→株価下落


・5月31日(金曜日)「トランプ大統領、メキシコからの輸入品に関税発言」→世界景気先行き懸念増大→株価大きく下落


・6月4日(火曜日)「パウエル議長、金融政策適切に行動と発言(パウエル・プット)」→米金融緩和観測強化→NYダウ512ドル高→5日の日本株大幅高


・6月7日(金曜日)「トランプ大統領、メキシコへの関税発動見送り(トランプ・プット)」→株価に支援材料


 要人発言によって、「世界景気悪化懸念」という悪材料と、「米金融緩和期待」という好材料が「意識されて」相場が動く、という繰り返しだったようです。


 トランプ氏は「来年の選挙勝利」を目指して発言・行動していますし、パウエル議長は「米国の物価安定と雇用極大化」を達成するよう努めていますから、株価が下がれば「それぞれが」売り方をけん制する発言・行動をします。(トランプ・プット、パウエル・プット、と呼ばれる動きです。)


 トランプ・プット、パウエル・プットが発動されると売り方が買戻しする、ということで相場が反発するわけですが、日本株の場合、パウエル・プット→米金利低下→円高観測→日本株に売り圧力、となってしまい、素直に上昇できない事情があるのが残念なところです。(このせいで、このところNYダウと日経平均の値サヤが拡大して、とうとう5000円近くになってしまっています。)


 米中の摩擦は継続していますし、経済データはまだら模様、政治情勢もいろいろ問題含み、という現状ではこうした相場付きがまだまだ続くのでしょう。来週は火曜日、水曜日に米FOMCが開催されます。(日銀の金融政策決定会合も開かれます。)


 不安定な相場が続きそうですが、株式市場が「悪材料慣れ」して水準を戻す、という展開も考えられますので、ポジション管理には注意しながら多少の期待を持つといったスタンスで臨むところでしょうか。


今は「リーマン・ショック」前夜なのか?

 米国景気は個人消費に支えられて堅調持続、という見方でいいのでしょうし、日本株も日経平均が計算上の1株当たり純資産水準間近というところまで下げているわけですから、様々な材料をこなしながら上値を指向、という見方でいいとなりそうな気がします。


 しかし、「リーマン・ショック」級の混乱が起きないかどうか、起きるとすればどんな原因で何時頃起きそうか、ということは考えておくべきでしょう。(売り方の立場からすれば、大チャンスとなるわけですし。)


 いつも書いたり言ったりしていることですが、世界的に強固なビジネス・エコシステムが確立しつつあるグローバル・経済、資本市場を前提としますと、大混乱はたいてい「何らかの政策ミス」によって起き、「混乱期間」はそれほど長くない、という想定をしておくことができるように思います。


 ショックにつながりそうな状況を見ますと、米国のCLO、中国の債務問題、新興国の債務規模拡大、等々、いわゆる「グレー・リノ(灰色のサイ)」が多数居そう、という状況です。


 しかしながら、これもいつも書いたり言ったりしていることですが、大きなショック(つまりは株価の暴落)はもう少し株価水準が高くなってから現実問題として考えるべき、というのが個人的な見通しです。(去年10月から年末にかけての「中規模の暴落」も含めまして。)


令和元年6月14日

証券アナリスト

松下律

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@shokenanalyst

何とか回復?

松下 律

2019/06/07 09:10

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タリフマン・ショック

 先週から今週にかけての相場下落は名付けるなら「タリフマン・ショック」といったところでしょうか。


 米国、メキシコ、カナダは「同じ国になったような」モノの流通体制を作ろうとして来たわけで、それを前提に多くの企業(日本の自動車メーカーもそうです)が北米で「ビジネス・エコシステム」を作り上げて来たということです。メキシコと米国の関係を山梨県と東京都のようにしよう、と。


 メキシコからの輸入品に関税を掛けるとなれば、山梨県から東京に持って来る物品に課税する、というようなものですから異例と言いますか大問題です。(対中国で関税を掛けるというのとは大きく違います。)


 トランプ流の次の大統領選挙向け「パフォーマンス」なのかもしれません。つまり、米国の労働者=有権者、に向けてのアピールということで、移民対策はトランプ氏の重要政策ですし、実はトランプ氏はMMTもよく理解していて、米ドルに対する信認がある限り、米国の貿易赤字など問題ではないことはよく分かっている、と・・それに米国の失業率は低いのだし・・


 何はともあれ、タリフマン・ショックが大規模な相場下落につながらなかったのはなにより(まだ分かりませんが)ですが、その理由としてはおそらく、


1.このところ出て来る米国の経済指標はまだら模様ですが、まだ企業業績が決定的に悪化するという兆候はない。

2.FRBが次の行動として利下げをしそうな情勢であること。


が大きいものと思います。


 今後を見通しますと、米国企業の業績悪化が今の楽観的な見方を打ち砕くような悪化を見せたときには、米国株が下落することがあり得る、という状況がずっと続くわけですから、相場下落懸念はなかなか消えそうにありません。


 米中摩擦の悪影響で世界景気が鈍化しそう(と言うか、もうそうなっている)だといことでの株価下落を昨年クリスマスにかけて経験したわけで、そのせい(おかげ?)でFRBがハト派化して株価の回復につながった、という流れです。しかし、相場が本格回復するのは、企業業績の悪化を一応織り込んでから、というのが普通だろう、という見方はまさに普通だと思っておく必要もあるのでしょう。

 

日本株は、と言いますと、需給の悪い分、米国株が下がるたびに米国株以上に下落して、今や日経平均とNYダウの「サヤ」が4千円をはるかに超えるようになってしまいました。(日経平均の計算上のPBRは1に近づいてしまいました。ROEはそこそこ高い水準なのに、です。)


 先行き懸念が強いということで出来高も盛り上がらず、1日の出来高が2兆円を割り込む日が多くなっています。長期視点の投資家から見れば特に心配な状況ではないのかもしれませんが、買いにせよ売りにせよ取るポジションは控えめに、トレードの回転は速めに、という人が増えるのは致し方ないところなのでしょう。


従業員と株主

 顧客、従業員、株主、国、地域社会、などは企業の「ステークホルダー」と呼ばれます。(個人的には、株主はシェアホルダー=企業のオーナー)であって、ステークホルダーと呼ぶのは不適切、と思っているのですが。)


 それぞれが利害関係を企業と持っている、という意味でしょう。


 利害、ということでは、企業と株主、経営者、とか、顧客、とか、社会、とかの関係についてはよく語られるのですが、私の見るところ、従業員と株主の関係(利害関係)についてはあまり聞かないようです。


 企業は従業員の働きによって「付加価値」を獲得して、それを従業員、株主、国などに「配分」しています。従業員に対しては主に給料、株主には配当金、国に対しては税金を配分している、というわけです。


 国への配分は税制で決まっているわけですが、従業員への配分については別に決まりはなく(最低賃金というものはありますが)、おそらく「付加価値に応じて世間水準を見ながら決まっている」というのが一般的でしょう。(会社と労働側の取り決めで、付加価値のxx%といった具合にきちんと決めている企業もあるかもしれませんが。)


 企業が稼ぎ出した付加価値を従業員数で割った数字を「労働生産性」と呼びます。(計算法はいろいろあるそうです。)この企業の労働生産性は年〇〇万円、といった具合です。


 従業員一人当たり付加価値(労働生産性)のうち給料として従業員に配分される割合を「労働分配率」と言います。付加価値が1000万円で給料が500万円なら、労働分配率は50%です。


 さて、労働分配率は何%くらいが妥当なのだろう?と考えてみます。労働分配率が0%では従業員が働くはずもありませんし、100%では企業が立ち行きませんから、妥当値は0%~100%の間にある、ことになります。


 わが国の統計では、労働分配率はだいたい40%~60%とのことです。まあ常識的な線だな、という印象でしょう。


 生産性が一定なら、労働分配率が高いほど従業員の給料は高いことになりますが、この辺りが面白いところでして、現実は逆で、給料の高い会社はだいたいにおいて労働分配率が低いのです。


 従業員は自分が働くのに必要な「資本」を負担しない、つまり事業活動におけるリスクを負担しません。(個人事業主になって、自分でラーメン店を経営する、というのと勤め人として給料をもらう、というのとの違いを考えればすぐ分かります。)


ということは、十分高い給料がもらえるのであれば、労働分配率は低くてもかまわない、ということになります。


 労働分配率が低ければ、株主への配分が増えますから株価は上昇します。


 つまり、労働分配率が低いのに高い給料を支払える企業が増えれば日本の株価はもっと上がる、ということになります。


 十分に高い(というより驚くほど高い)給料を支払っている会社の典型は、(ときどき番組の中で話すのですが)キーエンス、とかTBSとか三菱商事などです。


 TBSや三菱商事はちょっと特殊ですが、キーエンスは純粋に強い競争力と収益力をもったビジネスモデルを確立することで高い付加価値を稼いでいる会社、ということになります。


 おそらく、日経平均の採用銘柄のうちの3社に1社か、4社に1社くらいが、将来キーエンスのような会社になる、と期待できるようになったら、日経平均はかるく5万円を超えるようになるでしょう。そういう姿を見たいものです。


令和元年6月7日

証券アナリスト

松下律

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@shokenanalyst

様子見状態

松下 律

2019/05/31 08:52

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上げにも下げにも賭けられず・・

 今週の米国株式の下落は(米中貿易摩擦の中でファーウェイに続いて起きた)「レアアース・ショック」だったと説明できるだろうと思いますが、(売り材料ではあったものの)いかにも「小粒」で、売り方からすればこの程度の悪材料で徹底的に売りを仕掛けることはできない、というところだったのでしょう。NY株は落ち着きを取り戻したようです。しかし、午前10時発表予定の中国の5月PMIも気になりますし、今日の日本株がどう動くか、注目しておきたいと思います。


 米金利は逆イールドが常態化しつつありますが、逆イールド→先行き景気後退→株売り、というシナリオはすでに陳腐化しているでしょうし、FRBの次のアクションはほぼ間違いなく利下げ、となれば、いまさらそれを材料に売ることはしにくいところでしょう。


 米中対立にしましても、すでにかなりの行動は取られた後ですから、好悪材料に反応して相場が上げ下げするものの、相場水準を大きく変えるような変動にはつながらないかもしれない、となって買い方・売り方ともにあまり注目しなくなっているかもしれません。


 目先不安定な相場で出来高も低水準という展開のように思います。売り、買いともに大きなポジションを取らず、どちらかと言えば個別銘柄に注目するという人が増えるのは自然なことなのでしょう。世界景気にせよ金融システムにせよ地政学リスクにせよ、考えてみますとけっこう危ない要素があるのでは、と思うのですが、何となく起きていることに「慣れて」来て様子見状態、ということのようです。


過去10年

 振り返りますと、過去5年間でNYダウは4回大きく下げています。(数えような様々でしょうが。)


1.2015年末から2016年初夏にかけての「チャイナショック」 


2.2018年初~春にかけての「ヴィックス・ショック」


3.2018年10月~年末にかけての「◎◎ショック」(よいネーミングが思い付きません。)


4.今年4月~現時点までの、「Xショック」(これもよいネーミングが思い付きません。)


 下落率で見ますと、1、がだいたい15%、2、が12%くらい、3.が18%くらい、そして、4.が5~6%といったところです。(4.についてはまだ下げの内に入らない、というのが正確かもしれません。)


 残念なことにこうした海外(米国)株式市場の下げに輪を掛けて日本株は下落して来た、ということですが、いずれにしましてもまだ世界の株式相場は「リーマンショック」のような下げ(DJIAの下落率50%以上)には至っていない、ということはできるだろうと思います。さらには、「ドットコム・バブル崩壊」(下落率40%弱)クラスの下落もこの10年経験しないで済んでいます。


市場参加者の中には大暴落を期待して市場を見ている人たちもいるでしょうし、ふつうであればそういうことが起きずに持続的に株価が上昇して行くことを望んでいる、ということになるかと思います。


 私は個人的には、いずれ株価指数が半分以下になる(個別銘柄で見れば株価10分の1になる)ような暴落局面があるかもしれないが、それは今の相場水準からではなく、もっと上になってから、という感じを持っています。


2019年5月31日

証券アナリスト

松下律

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@shokenanalyst

認識ギャップ

松下 律

2019/05/24 08:46

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緩慢なショック

 いろいろ悪材料に見舞われている割には株式相場は、特に米国株式相場は落ち着いているという印象を持つものの、NYダウが数百ドル規模で下げることはあるし、ある程度の期間は低迷するかもしれないということなのでしょう。


 ファーウェイ・ショックは一時的なショックと言うより、これからじわじわとグローバル経済に悪影響を及ぼしてそれが株価に反映する、というタイプの緩慢なショックなのかもしれませんので油断は禁物で、TDKや村田の株価が下がったから終わり、とならないのかもしれません。


 しかし逆に、IT、とか、5Gとか、IoTとか、さらには電気自動車、自動運転、ホワイトカラーの業務効率化、生産性向上のためのIT投資、等々が経済の潮流であるなら、その担い手のひとつとみなされて来た会社が一部苦境に立たされるからといって潮流が変わるかもしれないと思うのも変な話です。


 ファーウェイがやらないなら別のどこかの企業がやるだけ、目先の混乱が収まれば何事も無かったようにまた動き出す、ということも考えられるでしょう。


 トランプ氏の自国中心主義には困ったものですが、安全保障の面からファーウェイやDJIやハイクビジョンに懸念を持つ、というのは理解できる話のようにも思えます。中国が米国と折り合えそうもないように見えるのは残念なことです。


 日米の株式相場をみますと、先週も書いたのですが、どうも日本は悲観的過ぎるし米国は楽観的過ぎるという風に見えます。こういう場合近い将来どうなるのか、断言はできませんが、一旦は楽観的過ぎる市場が先行き懸念を十分に織り込んで、つまりは下げて、それから戻りに進む、となるのが自然のように思えます。


 米国では、次の金融政策は利下げ、とみなされているのでしょうから、そういう下落相場があって、その下落があたかも「利下げの催促」のように映って、利下げが実施されて株価が上昇に向かう、ということが起こるとすれば、いかにもそうなりそうな気もします。


 私は個人的には、今の米国株式相場は「ゴルディロックス」だと思っているのですが、上記のような下落が起きて、その後株価が上昇に転じるとしますと、その後は「バブル相場」になる可能性があるのではと思っています。(イメージとして、個別銘柄のPERが軒並み50倍をこえるような相場、です。)


 いろいろな意味で、そうなれば面白いという気がするものですから、期待を込めて、というのであれば、そうなる確率は50%より大きい、と言いたくなります。


日本の株式文化

 何事にせよ日本は欧米に遅れをとっている、と言いたい人たちにとっては、日本を実証例としてMMTが論議を呼んだり、欧州でも移民に対する排斥姿勢が強くなったりすると戸惑うのかもしれませんが、冷静に見る限り、日本の政策とかやっていることは多くの場合けっこう先進的です。


 ただし、うまく行ってないことが多いのも確かで、PER12倍にしか評価されない株式市場はそのうまく行っていない典型例でしょう。


 株式文化とでも言えばいいのか、米国ではけっこう根付いているように見えて、それによって経済成長が促進されているようなのですが、日本ではなかなかうまく行かない・・


 なぜなのか?もっと大規模な自社株買いをすればいいのに、とか、株式による相続で課税の繰り延べをすればいいのに、とか思うのですが、NISAやIdecoのようなものもあるものの、今ひとつの感が拭えません。


 働く人々の給与水準が他の先進国に比べて見劣りするというのはどうやら本当のようで、何とかならないものかと思うのですが、少なくともこの30年はダメでしたね。


 私の感じでは、どうもわが国では、資本の出し手と従業員の間に認識の大きなギャップがあるようで、それが埋まらないといろいろトンチンカンなことが続出するように思えます。(例えば、買収への拒否反応、とか。)


 資本の出し手と従業員は、同じ会社が獲得する付加価値を分け合う立場にあるわけですが、けして奪い合う間柄ではなく、双方が納得できる分配が可能な話です。(それを取り仕切るのは経営者です。)


 付加価値、労働生産性、労働分配率、などについて、さらには、従業員と資本の出し手との合理的な関係、などについて番組の中でいろいろ考えてみたいと思います。


2019年5月24日

証券アナリスト

松下律

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